今回は少し昔の話をしようと思います。……が!人によっては不快になったり、トラウマを呼び起こしてしまう内容が含まれる可能性がありますのでご注意ください。大まかにいうと、下記の事柄が含まれます。閲覧は自己責任でお願いいたします。
【性犯罪】【自殺未遂】【いじめ】【(軽く)暴力的表現】【(軽く)同性愛】
さて、それでは、コウの蛮行(!?)についてお話していきましょう。昔は暴れん坊だったので……今は穏便ですよ、穏便。ええ。
ことの始まりは身内によるセクハラ。これが普通の挨拶だよと言われ、力も弱く素直な子供だったユキは抵抗できず、誰にも相談できずに違和感を抱え、生活。結果、小学生にして初体験を身内の男性に、しかも屋外で、奪われました。
同時期、ユキはいじめも受けており、様々な感情から自殺を決意。その時現れたのが子供のほうの名前不明、通称引きこもり。彼は自殺するためなら時も場所も選ばず、自傷するよりも直接的に死ぬようなことを何度もしでかしました。それを止めるため、ほぼ同時に自我を持ったのが僕、コウだったのでした。
どうにか毎回の自殺を未遂で終わらせ、自傷をする前に引きこもりやユキを守るように人格交代が何度も行われました(そのおかげで若干保護人格的な部分があるのですが、それは別件)。僕が「目を覚ました」時は、ユキが小学生の時、屋外で性行為を強要された後。身内によるセクハラはずっと続いていたために、何かのきっかけで芽生えたのかもしれません。その後ユキと接触した(当時はノートでやりとりをしていました)のですが、そのあたりは割愛するとして……中学になってもいじめは続き、やっと解放されたと思った高校では部活の先輩からいびりを受け、大学で始めたバイトでもセクハラをされ(そのおかげであしらうのに強くはなったので結果としてはいいんですけども)、彼氏に無理矢理性的行為をさせられ、ストーカー被害に何件も遭い、心療内科に通うことにしました。
けれども、行った病院の医師は男性でした。男性恐怖症に陥っていたユキはきちんと自身の状況を伝えることはせず、ただ「睡眠障害で睡眠薬をもらいに来た」という旨だけ告げ、通院しました。
思えば小学校のころから睡眠障害で、ずっと眠れていませんでした。眠れずにぼんやりしていたら朝だったり、諦めて本を読んでいたり……限界になると気絶するように寝落ちていたようで、この時から既に家のストレスで病院にかかったほうがいい状態だったのだと気が付いていたら良かったのかもしれません。当時きちんと知識を持っていれば……悔やまれます。
その間にもセクハラやストーカー行為は続き(ネットストーカーもありました)、身体には生傷がいくつも出来、それでも誰にも相談できずに仮面をかぶって笑って過ごしていました。だって、そうすれば「何もされていない、一般的な女の子」でいられるから。ユキがそれを望んだから。僕はそれに応じ、二人で一人の人間に見えるよう試行錯誤しました。
家族はとても優しくて、けれど真綿で首を絞められている感覚がずっとしていたそうです。実際に規律や行儀には厳しかったし、着物を一人で着られないと怒られる、夕飯などは食べさせてもらえず冬でも裸足で外に追い出されるなんてことは日常茶飯事で、普通の家とは何かが違ったのかもしれません。けれど不自由なく大学まで進学し、……現在。
心療内科も変え、障碍者手帳や年金受給の要件を満たし、ひとまずは不自由のない生活を送れています(イベントで本を出したりもしています。まだ大勢の人は怖いらしいので、売り子はユキにはできないけど……)。
ただ、時折思い出すのです。
力強い手で押し倒され、青空の下で犯されたこと。
冬の寒い日、友人として好きだった後輩に押し倒され服を脱がされたこと。
彼氏だと、優しくしてくれると思っていた人たちがただの体目当てのように見えたこと。
いじめてきた人々の嘲笑。
バイト先でストーカーやセクハラに遭ったこと。
素人には無理なことを何度も強要し、休日を潰させ、なお失望する部活の人々の顔。
まあ大体の人間は僕に交代されるので殴ったり蹴ったりして抵抗したし、彼氏とも縁は切ったし、現在はユキの親友兼僕の彼女がいるのでそういう相手は作ることもないですが。
今もユキは、僕は、夢に見るのです。
幻聴や幻覚だと思っても、ぞっとすることがあるのです。
それだけのことをされた人間は、きっと一生涯これらの出来事を忘れられないのでしょう。けれどそれだけのことをした人間は、一刹那で忘れてしまうのでしょう。ただ一人の少女が悩み、苦しみ、自分の中で人格が分離してまで「自分」を守らなければならないほどの状況に陥らされたことを。
どうか被害者が減りますよう。
どうか加害者に正当な罰が当たりますよう。
どうか、どうか。
これ以上苦しむ人が、増えませんよう。
コウ
俺のような者が、ここに何かを書いて良いものか、かなり悩みました。
しかしここに、誰一人、何も書かないということが、ユキさんのような人たちへの無関心を象徴しているような気がして、今文章を綴っています。
一人の人間と接するにあたって、誰であっても、もっとその相手を見なければいけない。
完全に理解できることなどなくても、「見る」ことで、わかることは増えるはずだから。
家族であろうが、恋人、友人、知人、同僚、先輩、後輩、どんな関係でも。
SNSで繰り返される誹謗中傷や炎上を見れば、タレントと視聴者などの、遠くて一方的な関係の場合だって同じです。
これを見ているあなたの行動や発言が、相手にどんな影響を与えるか、ということについて、どうかもっと小心者になってほしいと思います。
何様の発言かと、思われるかもしれません。事実俺も、浅はかな発言で他者を傷つけることはあります。
その原因になっているのは、自分の感情や都合を優先した「身勝手」な考え方です。
相手をしっかりと見て、自分の言葉が行動が、目の前の人にどんな影響を与えることになるか、もう少し、あと少しだけでも、臆病になれと、自身に言い聞かせたいと思います。
一人でも多くの人が、もっと優しく、もっと弱虫で、大切な人を守れる強い存在となれますように。
最後に、このページを記すために、勇気を持って記憶をたどられたユキさん、コウくん、他の方々に、なるべくたくさんの幸せな出来事が訪れますように。
消えることのない傷跡を、そっと覆ってくれるほどの、優しさが降り積もりますように。