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長き夜に猫はなく
にゃぁ、と猫は鳴いた。
黒く、痩せた猫だった。
空を見上げれば丸い月が輝いていて、そいつの目に落ちたんじゃないかってくらい、きらきら輝いていた。
猫が誘うように歩くもんだから、ふと興味がわいた。
に連れていかれるか知れないが、弾にはこういうのもいいと思ったんだ。
そいつは満足げに鳴くと、俺をどこかへ連れ出した。そして、
…いや。もう前書きはやめよう。
とにかくそこから始まったんだ。
俺と名無しの黒猫の、当てのない夜を渡り歩く、終わりの見えない冒険記が。
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